スターダストは、こちらが本命です  オトナになったお嬢のスタンダード集も、同じ時期にiTunesにぶらさがりました。もちろん、言うこと無しの出来です。巷間伝えられるように、ご本人サイドにより「封印」されたものだとすれば、これはモッタイナイ。マータイさんに叱られそうです。  でも、「ナット・キング・コールのカバー」を目指した後年の「スターダスト」よりも、こちら「アーリーソングス」に収められた同曲の方が、若い娘さんの歌う「スターダスト」でありましょう。もう誰も何も言うことのない不世出の女性歌手です。こちらのバージョンの方が、彼女に「若い身空」があったことを今に伝える貴重な「スターダスト」であるように思います。  「シャンハイ」も名唱です。私はケントン楽団時代のジューン・クリスティを思い出しました。上海が東洋で一番モダンだったころのにおいは、この歌が流れた時代、人々の記憶に鮮明であったことでしょう。パーカーやロリンズがスロウボートで目指したチャイナは、軍靴の響きではなく進駐軍のジープの音が聞こえるオキュパイド・ジャパンにとって、もはやエキゾチックで遠い場所だったのでは。そんなことさえ考えてしまいます。  ベタホメしながら星一つ減点は、さてSP風ノイズはホンモノか否かと迷った分。コロムビアの倉庫には、お嬢の作品ならきれいな音源が残っているんじゃなかろうかと思いつつも、「薔薇色の人生」のようにクリアなものもあり、上海やスターダストのようなチリチリあり。このノイズはアーリーワークスを意識した意図的演出か、本当に本気でSPからiTunes用にこしらえたか。意図的ならば星三つ減点したいところでありますが、お嬢ワークスにまさか星二つというわけにはいきませぬゆえ、疑わしきは星一つ減点。