愛すべきバンド シングル「ガールフレンド」を聴いた時は驚きました。ついに、新しい世代を代表するバンドが出てきた。これは期待して良さそうだ。そう思い、彼らのファーストアルバム「C」は何度も聴きました。過去の入れ込んでいた邦楽アーティストの偉大な作品群の残影を振り切ってくれそうな、そのような期待を抱かせるバンドだと思い、密かに彼らを応援していた私です。その後、暫く彼らの作品とは距離を置いていたのですが、彼らの現状を確かめる意味で今作を聴いてみました。感想として、曲全体に流れるムードにどこかポジティブなお祭り感を抱きます。四つ打ビートを基調として、バンドが奏でる清涼感溢れるアンサンブル。自分が入れ込んでいたオルタナ世代とは一線を画す、明るくポジティブな印象のアルバムです。かっちりした曲群は、どの曲も情緒過多に陥る事をさらりとかわし、美しい弧を描いて着地します。あえて聴き手に重い印象を残さないように作られているようにも感じます。唄われる歌詞の世界観にもどこか冷静さというか、ストーリーを客観視してパロディっぽく唄い上げている、そんな印象を私に抱かせます。こういう、自分より若い世代の思いに接する体験は、作品を通してしか知る事が出来ないので、とても興味深いです。音楽的野望のようなものは感じにくいかも知れないが、彼らの精一杯を奏でる素敵な曲群は、私に未来への希望をもたらします。食わず嫌いしている彼らの上の世代に聴いてもらいたい、そのような作品です。